ガラスの常温接合
ムサシノエンジニアリングでの常温接合技術の中でも現在、特に注目を頂いているのがSiO2系に代表されるガラス素材同士の貼り合わせです。
なぜガラス貼り合わせで注目を浴びるようになったのか、それには様々な理由がありますが、2009年産経新聞・日刊工業新聞の2紙に相次いで取り上げられた「金属薄膜でのウェハー接合」を行う原子拡散接合(ADB)の記事が、東北大学の島津武仁教授と、弊社との共同研究で取上げられたことが大きなきっかけでした。
金属薄膜を使ったこの画期的なガラス接合方法は、瞬く間に業界の注目を浴びるにことになりました。
それはこれまで常温接合の中で難易度の高い接合とされてきたのが熱酸化物などに代表される「ガラス素材の貼り合わせ」ができるという点も理由の一つです。
透明なガラス基板同士を貼り合わせる場合、通常では接着剤などを使って貼り合わせをおこなうのが一般的ですが、ムサシノエンジニアリングの場合、表面活性化法(SAB)と原子拡散接合法(ADB)の2つの接合方法があり、その目的や内容に応じて、最適な方法をご提案しています。
以下にその新しい特長をお伝えします。
ムサシノエンジニアリングの常温接合技術の特徴
- 接着剤に比べガラス基板の透過率をほとんど落とさない。
- →透明度が高く・透過率の減少の少ない、品質の高い製品ができる。
- 接着剤などに比べ、経年劣化による変色・変質が少なく安定した品質を保持できる。
- ADBの場合、ガラスの材質を問わず、常温・無加圧での接合が可能です。
- →ガラスなどの基板に対して熱・加圧によるストレスフリー。
→従来の加圧・加熱の処理に掛かった時間を大きく短縮することができる。 - ADBの場合、接合表面の金属薄膜の層を任意に選べるだけでなく厚みもコントロールできる。(最小膜厚:片側0.2nm)
- →接着剤が数十マイクロm以上の厚みがあるのに対し、ムサシノエンジニアリング常温接合装置 (ADB)の特徴は接合面の金属膜層の厚みが片側0.2ナノmから接合可能。
→接合金属膜を、電気的・光学的な機能性薄膜としても活用できます。(Al,Cu,Si,Ag,Au,Ti,Co,Fe,Cr,Pt,Ru,Ta等で実績あり。) - ADBの場合、接合表面の金属膜を利用して、新しい機能を持ったデバイス開発の可能性が期待できる。
- 例えば
- 金属膜の種類を選ぶことで,透過光の波長依存性を変えることができる。
- 接合膜の厚みを数十ナノメートルにすると、接合膜を反射膜に用いることもできる。
- ガラス基板同士を積層させることが出来る。
- ガラスと他の基板の組み合わせや封止(パッケージング)にも期待ができる。
- SABの場合、ガラスの材質によっては直接接合が可能です。
などが大きな特長として挙げられます。
ガラス接合について、実験、試作をご希望のお客様へ
低コストでの実験、試作を可能にする、弊社の常温接合試作サービスをぜひご利用下さい。
弊社は常温接合の試作機(実験機)と量産機をこれまで数多く手がけてまいりました。 常温接合の持つ可能性は、絶え間ない技術革新により、ますます大きなものとなっています。「貼り合わせ」「封止」などを目的とした その技術はMEMSのみならず光学デバイスや新機能・高機能を持ったデバイスの創製にも注目されています。
また、日本の光学技術は世界屈指のものです。これをさらにレベルアップし、競争力を高めていくことに積極的に貢献していくことも弊社の使命だと考えております。 今後もこれら研究開発の分野で培った技術を基に、更により良い装置作りを進め、皆様のお役に立てるよう努力して参ります。
ガラス−ガラスの貼り合わせについて興味をもたれた方や、詳しいご説明が必要な方は、是非お気軽に弊社営業窓口までご相談下さい。左記「常温接合へのお問合わせ」からもご相談を、随時受け付けております。