原子拡散接合の概要
ADBとは、ウェハ等の接合面に超高真空中で微細結晶膜を形成し、それらの薄膜を真空中で重ね合わせることで、2つのウェハを接合する、常温接合技術の一つです。当社では東北大学との共同研究開発により、世界で初めて、原子拡散接合技術によるウェハ接合装置の製作に成功しました。基礎研究の用途から量産まで、幅広い用途での装置設計が可能です。従来の技術とは異なるアプローチで、お客様の課題を解決できる可能性があります。
製品の小型化、耐久性の向上、高性能化をお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
原子拡散接合の特長
母材に熱が加わらない
常温での接合ができますので、母材に熱が加わりません。それにより、熱膨張率が異なるために接合が不可能だった異種材料の接合が可能になります。多結晶の膜を入れることにより、新しい機能を持たせることが可能になります。
接着剤が不要
多結晶膜が原子レベルで接合しているため、強度が高く、信頼性、耐久性に優れています。 また、接着剤で封止する加工をした場合、密閉空間に接着剤から発生するガスがたまり、製品の劣化の原因になります。多結晶膜の厚みは一原子層から可能なのでナノメートルでの接合が可能となります。
膜厚20nmのTi膜を使って接合したSiウエハの断面TEM写真
材質:上面 Si
中段 Ti/Ti
下段 Si
原子拡散接合により期待される効果
コスト削減、画期的新製品の開発
今まで不可能だった異種材料の接合が可能になり、材料選定の幅を広げることができます。これにより、コスト削減、画期的新製品の開発の可能性があります。
機能を持たせた膜の接合ができます。
高信頼性・微細化
MEMS(微細構造物)の開発や、3次元実装分野では、信頼性とさらなる微細化が求められています。接着剤を使用しない原子拡散接合では、既存の加工法に比べ、信頼性が高く、より微細化された新機能を持たせた製品の製造が可能になります。
処理時間の短縮
熱を加える接合法の場合は、昇温と降温に時間がかかります。原子拡散接合では熱を加えませんので、その分の処理時間が短縮されます。
原子拡散接合の原理
超高真空中における微結晶金属薄膜の大きな原子拡散を利用して、常温・無加圧・無電圧で行う新しい接合技術である。
原子拡散接合の応用分野
ウエハ・レベルで積層化・集積化した新機能デバイスの創製
集積回路と短波長光デバイスの集積化(Siデバイス/GaN、フォトニクス結晶、LED)が可能です。新機能光-電子変換デバイスとしてご利用いただけます。
3次元実装、パッケージ基盤高機能化
SiデバイスとSiデバイスの積層やヒートシンクとしてご利用いただけます。
異種材料ウエハ間の接合によるハイブリッドウエハ
シリコンと石英ガラス等の極薄金属膜を挟み込んだハイブリッドウエハ接合が可能です。
光学用デバイス
光透過デバイスとしての機能膜接合が可能です。
MEMS等の製造技術
凹凸加工されたウエハの接合が可能です。