常温接合とは
- 常温接合とは文字通り常温【室温】で、物質と物質を貼り合わせる接合技術です。
- 熱膨張係数の違う素材同士を貼り合わせすることができます。
- 接着剤を使わないのでデバイスやウエハの貼り合わせの後に発生する経年劣化歩留まりの問題を軽減できます。
- 従来の接合方法では実現できなかった世界にまだ知られていない新しいデバイス・素材の開発・製造に大きく期待が持てます。
- 弊社ではお客様の目的・ご仕様に合わせて2種類の接合方法をご提案しています。
特長(1):ムサシノエンジニアリングの常温接合装置の5つの特長
他社の常温接合装置と比較し、弊社の常温接合装置は下記の様な特長があります。
- 特長(1) タクトタイムの速さ
- タクトタイムの速さは生産能力に直結します。他社製品に比べ、弊社の常温接合装置はタクトタイムの速さに定評があります。
具体的には、シリコンウェハ同士の貼り合わせの場合、 SAB・ADBともに約5〜10分のタクトタイムを実現しています。 - 特長(2) 真空立ち上げの速さ
- 大気状態から超高真空状態に到達するまでの速さは、他社の追随を許しません。これは超高真空装置の専門メーカーならではの強みです。
メンテナンスなどで大気開放しなければならない場合、真空立ち上げが速いと、生産再開までの時間を短縮できます。 - 特長(3) ウェハ以外の形状にも対応
- 他社の常温接合装置では、ウェハの接合が主流になっており、複雑な形状のものを不得手とするものが多いです。
弊社の常温接合装置は、ウェハ以外の特殊な形状のものの接合にも実績があります。 - 特長(4) 柔軟なカスタマイズ(オーダーメード装置)
- 弊社は、長年にわたり、超高真空装置のオーダーメード販売を行ってきました。
常温接合装置でも、様々な試作機や量産装置を、お客様のニーズに合わせて設計・製造してまいりました。
このカスタマイズのノウハウや技術は、ムサシノエンジニアリングの大きな特長の一つです。 - 特長(5) ランニングコストの安さ
- 装置を導入した後のランニングコストは大きな問題です。
弊社の常温接合装置は、他社の装置に比べメンテナンスの回数が少なくて済むことが、お客様から喜ばれています。
メンテナンス費用の削減ばかりではなく、装置の稼働時間も伸ばせることを意味しています。
弊社ではお客様の目的・ご仕様に合わせて2 種類の接合方法をご提案しています。
特長(2):ガラス-ガラスの貼りあわせについて
ムサシノエンジニアリングが提案する常温接合装置はガラスとガラスを貼り合わせることが出来るのが大きな特徴のひとつです。
しかもガラス基板を貼り合わせる技術としては旧来からある接着剤による貼り合わせと異なり、以下の新しい特長があります。
- 接着剤に比べガラス基板の透過率をほとんど落とさない。
- 接着剤などに比べ、経年劣化による変色・変質が少なく安定した品質を保持できる。
- ADBの場合、ガラスの材質を問わず、常温・無加圧での接合が可能。
- ADBの場合、接合表面の金属膜を利用して新しい機能を持ったデバイス開発の可能性が期待できる。
- SABの場合、ガラスの材質によっては直接接合が可能。
などが大きな特徴として挙げられます。
より詳しく常温接合の魅力が皆様に伝わるよう・このほどガラスの接合に特化した専用ページをご用意しました。
興味を頂いた方は下記のページも是非ご覧下さい。
接合事例:SiO2とSiO2の接合
<常温接合:原子拡散接合法にて接合>
Ti(0.2 nm)/(Ti0.2 nm), 2 inch,
資料提供:東北大学 島津研究室
他の接合方法と何が違うの?
例として溶接による接合との違いを見てみましょう。
溶接などの加熱による接合方法との違い
溶接と比べた場合、物質を貼り合わせる際に溶接では熱を発生させお互いの表面を溶かします。この場合同素材同士の接合では接合面が溶けるだけですが、異素材同士の場合【例えばステンレス材とアルミ材の場合】では、溶接はできませんが、弊社常温接合では可能です。また溶接できる材料でも熱を加えた時の伸び縮み【熱膨張係数】の違いにより溶接後、常温に戻った時に歪みやそりなどが発生します。この状態のまま加工・処理等を行うと内部に応力を内在させた状態の為、加工不良や品質の低下、最悪の場合、疲労破壊を起こしやすく、破損や重大な事故を引き起こす可能性があります。
常温接合の場合、室温での接合が前提の為、熱膨張係数の違う素材同士を熱を加えずに接合することが可能です。このため溶接以外にも超音波接合や陽極接合を用いた熱の加わる接合法と比べても、常温下で使用される場合に熱ストレスを大幅に低減できます。
接着剤などの接合方法との違い
接着剤を使って接合する方法と比べてみましょう。MEMSや半導体業界では、接着剤によるデバイスの接合が現在でも数多く取り入れられています。接着剤は安価であり量産に向いているため、現在でも多くの分野で利用されていますが、経年劣化による品質・耐久性の低下や放出ガスによる他機器への影響・パッケージング後のデバイスの性能低下などの問題も同時に抱えているとの声を、ユーザーの皆様から数多く寄せられています。
常温接合の場合、室温での接合ができることに加え、接合の際に接着剤のような高分子系のガスを放出する溶剤などを用いません。そのため真空度を保持したままパッケージングをすることが可能であり、実際に接合する装置は超高真空の圧力下で行われるため、封止後の真空度も従来の物より高く高品質・長寿命です。
加圧などの接合方法との違い
弊社が提案する常温接合法は、従来の加圧による接合方法〈高温・高圧接合〉と比べ、常温無加圧で異素材同士を貼り合わせることが可能なため、微細化された基盤に対して、ストレスを与えません。よって加圧による破損の心配がありませんので、より微細化された製品開発が可能となります。