加速器分野への参入・実績
弊社ムサシノエンジニアリングの加速器分野におけるはスタートは茨城県つくば市にある加速器施設:高エネルギー加速器研究機構【旧 高エネルギー物理学研究所】から始まりました。
当時高エネルギー加速器研究機構ではトリスタンという大型の加速器を製作しており、弊社はその中で、当時ではとても珍しいアルミニウム合金を用いた真空部品の製作に携わりました。弊社が設立された昭和63年当時は現代のようにMEMS・半導体などの産業自体で真空を用いるメーカーはまだまだ少なく、こと超高真空を用いる加速器に関しては、数えるほどの企業しかありませんでした。弊社は創業以来、研究者・技術者の皆様の声に耳を傾け「オーダーメイドの超高真空装置」の開発・製作に取り組んでまいりました。加速器の歩みとともに弊社の技術ノウハウとして蓄積され、その技術はほかの産業分野でも応用され、今日の私たちの技術力を支えています。
創業以来 国内外を問わず数多くの加速器施設・研究所の先生や技術者の方々とともに取り組んできたことが、今日の私たちの真空技術の力の源になっていることは間違いありません。研究開発の第一線で研究者とともに取り組んできた、数え切れない製作実績は、いつしか「オーダーメイドの超高真空装置の製作」を専門に受ける程御信頼を頂くまでになりました。
私たちの会社では加速器施設向けのボルト1本からオーダーメイド装置・機器を設計・開発・製造に至るまで、構成するパーツのひとつひとつからお客様の求める仕様と真空に適した材料・加工・表面処理を見直すことで、より質の高い世界に一つだけのオリジナルの装置を製作するお手伝いをしています。
弊社では高エネルギー加速器研究機構を始め、J-PARK、Spring-8、理化学研究所、東北大学など国内の加速器施設に大変多くのお引き合いを頂き、これまでに実験装置や様々な試験装置を数多く納入させていただきました。また国内のみならず台湾や欧州の海外の加速器施設などにも納入実績があります。
加速器とは
加速器内の真空度は超高真空から極高真空と呼ばれる領域で使用されるのが一般的で、これらは地球の周りを回るスペースシャトルや、人工衛星が周回している領域の真空度とほぼ同等です。極高真空領域になりますと、月の表面の真空度とほぼ同等です。
加速器は直線形状のものからやリング状その他様々な形状があり、大きさも大小さまざまです。大きなものは高エネルギー加速器研究機構のような直径約1kmに及ぶ様な巨大なものまであります。
加速器では様々な物質の粒子【電子・中性子・陽子など】を用いて光の速さまで加速させたあと、衝突点と呼ばれる個所でお互いを精度よく衝突させ、そこから飛び出したさまざまな物質の反応を検出器に取り込んで測定していくことで・物質の特性を見たり検証を行うことができます。
また、つくばにありますPF(フォトンファクトリー)では放射光と呼ばれる光を用いて、物質の構造解析を行っています。
これらは物質を構成する分子よりさらに小さい世界の研究や新しい物質の発見の研究にも用いられ、宇宙の創生に関わる研究などにも期待を持たれています。
医療分野では新薬の開発、農業分野では品種改良などでも加速器は広く応用され産業の発展を支えています。
高エネルギー加速器研究機構 納入実績参考例
- 電子雲測定チャンバー
- 電子雲密度測定チェンバー
- 四重極電磁石用ビームダクト
- AL製ベローズ付ダクト
- 高次光除去ミラー調整機構
- LERクラブ空洞用チェンバー
- Sチャンバーブクミ
- ニュートリノビームライン花形ビームダクト
- AL合金製ビームダクト
- 超高真空用 4象限スリット
- 超高真空槽 挿入型4象限スリット
- ストレート部用アンテチェンバー付銅製ビームダクト
- ストレート部用銅製ビームダクト
- ストレート部真空用チャンバー
- AL製ダクト(φ185フランジ)
- 信号自動検出システム
- 自動位置調整システム
- 超高真空用2軸偏光解析機構
- 天体核実験用低アウトガス標的システム
- AL製導波管
- 真空用自動XYスリット(水冷機能付)
独立行政法人 日本原子力研究開発機構
- ビーム位相平面領域制限装置
- XAFS測定用チャンバー
独立行政法人 理化学研究所
- 新入射器【RILAC2】LEBT系真空用機器
- 加速器用AL製ダクト
- REB-B21チャンバー・架台
- ICF305−VG250ベローズ付チャンバー
- ICF203−305ベローズ付チャンバー
東北大学 電子光学理学研究センター
- スリット可動機構
- 高周波電子銃空洞2号機
- RFキャビティ
- αチャンバー
- 低エミッタンスDC電子銃システム
東北大学 多元物質科学研究所
- レーザー配向分子の電子運動量分光装置
SPring-8
- 試料連続自動搬送システム
- 小角散乱用真空パス自動切替装置
- BL03XU小角散乱用架台
new!真空用自動XYスリット<水冷機能付>
概要
本製品は高精度の真空対応のXYスリットです。X線などの入射光などの光に対し、極めて 自由度の高いビームの整形が行えるほか、入射ビームに対する位置監視が可能です。
納入先
高エネルギー加速器研究機構
低エミッタンスDC電子銃システム
概要
本低エミッタンスDC電子銃システムは、大型電子加速器を初めとする各種電子源として 用いることができます。最近ではこの電子ビーム源を用いたTHz光の発生の研究にも活用されています。またこの電子ビームシステムはコンパクトで取り扱いも容易で、大電流と同 時に良質な電子ビームを発生することができます。
納入先
東北大学 電子光理学研究センター(旧核理研)
超高真空槽 挿入型4象限スリット
概要
本製品は通常のフランジ゙接続によるスリットとは異なり、本体内部に超高真空用モーターを導入しており、従来の常識にとらわれない新しい実験方法・装置レイアウトが可能となります。 また薄型かつ軽量なコンパクト設計により、設置の際の自由度が飛躍的に高まり、入射してくる反射ビームの形状や検出位置を変化させる事も可能です。 加速器・放射光分野のみならず、これからの研究開発の分野において新しいスタンダードとなる可能性を秘めたフラッグシップモデルの登場です。
納入先
高エネルギー加速器研究機構 フォトンファクトリー
小角散乱用真空パス自動切替装置
概要
本装置は放射光X線を用いた小角散乱実験のための測定用光学系を自動でセットアップできるように設計された装置です。
納入先
SPring-8 FSBL
超高真空用4象限スリット
特長
- 超高真空対応でありながら、高精度・高分解能。
- スリットはオーバーラップ方式。
- 特殊処理にて低ガス放出。
- 上下・左右方向のスリットのブレードによりX線などのビームの形状を自由に調整できるほか、各々カレントの読み出し可能なBNCコネクタ(ICF034タイプ)4箇所装備。
- ステッピングモーター駆動による全自動運転ができ、コンピューターへの接続も容易。
- スリット部材質はステンレス以外にも製作可能です。
納入先
高エネルギー加速器研究機構 フォトンファクトリー
手動XYスリット
特長
- スリット部にはヘビーメタルを使用。
- シンプルな構造にて高精度。
- 送りは、ブッシュガイド方式またはクロスローラーガイド方式を採用。
- 4枚のスリットを独立させての調整が可能。
自動XYスリット(大気用)
特長
- スリット部にはヘビーメタルを使用。
- 駆動にステッピングモータを使用。
- 高精度・高分解能。
- 4枚のスリットを独立させての調整が可能。
自動XYスリット (真空用)
特長
- スリット部にはヘビーメタルを使用。
- 駆動にステッピングモータを使用。
高精度・高分解能。 - 4枚のスリットを独立させての調整が可能。
- 中低真空用・超高真空用を製作可能。
高真空用 XYスリット機構
特長
- 高精度・高分解能。
- 4本のマイクロメーターヘッドにて2方向のスリットの開閉を操作
- スリットにはタンタル材(厚さ3mm)を使用。
- 2方向のスリットのブレードによりX線ビームの形状を自由に調整できる。
超高真空用 4軸ゴニオメーター
特長
- 高精度・高分解能。
- 真空用ステッピングモーターの使用により全自動運転ができ、コンピューターへの接続も可能。
- 各軸の積み重ね構造により、位置決めが容易。
- 検出器と試料の回転は同軸個別回転である。
高真空用 5軸ゴニオメーター
特長
- 高精度・高分解能。
- 真空用ステッピングモーターの使用により全自動運転ができ、コンピューターへの接続も可能。
- 各軸の積み重ね構造により、位置決めが容易。
- アルミニウム合金を使用している為、軽量であり、ガス放出量が少ない。
- 検出器と試料の回転は同軸個別回転である。
- 加熱機構(MAX.700℃)、冷却機構付き(オプション仕様)。
超高真空用 6軸ゴニオメーター
特長
- 高精度・高分解能。
- 真空用ステッピングモーターの使用により全自動運転ができ、コンピューターへの接続も可能。
- 各軸の積み重ね構造により、位置決めが容易。
- 試料加熱機構付き。
- 取り付けポートはJIS-VG150とICF152の選択が可能。
高次光除去 ミラー調整装置
特長
- 高精度・高分解能。
- ステッピングモーターの使用により全自動運転ができ、コンピューターへの接続も可能。
- 高次光を除くためにニッケル及びロジウムをコートした全反射ミラーを使用。
- ミラーを2枚用いることにより高い反射率・高次光除去率、そして固定した射出方向を得られる。
in-situ 偏向全反射蛍光XAFS装置
概要
本装置はシンクロトロン放射光のX線を使用し、触媒活性点など表面に高分散した化学種をin-situ条件下で三次元的に構造解析ができる表面構造解析装置です。また、長距離秩序を必要としない局所構造解析が可能です。
納入先
東京大学
測定資料
測定資料ご提供 北海道大学 田旺帝先生・朝倉 清高先生
小角散乱カメラ
概要
光源から直接光に2台の自動スリットを設置して、直接光のまわり数度の回折角範囲に現れる散漫(拡散)散乱(X線小角散乱)を観察するものです。 生物学、高分子工学、機械工学などの分野の超微細な観察ができます。
広角・小角同時観測構造評価装置
概要
ナノスケールの構造を評価するのに有効なX線を使い、高分子の結晶の形成過程、半導体材料の積層状況、蛋白質の結晶構造等の解析をする為の装置です。
広角・小角を同時に観測できる為、高分子特有の階層的な構造の形成を一次構造から高次構造まで観測できます。
納入先
広島大学
チューン測定器
特長
- SOR反射鏡駆動機構及び水冷式SORシャッターの機能分離型測定装置。
- 反射鏡駆動部とシャッター機構部を必要に応じて分離できる。
- モーター駆動にて高精度・高分解能。
- 超高真空対応。
- アルミニウム合金製にて、軽量かつ完全非磁性。
納入先
東北大学
真空散乱槽
特長
- 世界最大規模(φ1,200×1,200H)のアルミニウム合金製一体加工型真空散乱槽。(溶接なし)
- 超高真空対応。
- アルミニウム合金製にて軽量かつ完全非磁性。
- ガス放出が極めて少ない。
納入先
東北大学
(日本・アメリカ・イタリア国際共同研究にて使用)
ビームプロファイルモニター
■SUS合金製 超高真空用 ビームプロファイルモニター
概要
3連式ローマンポット型モニターで、ローマンポットの内側にファイバーのモニターが有り、ビーム中心に出入りさせ、3ヶ所にてビームをモニターします。
■ X・Yプロファイルモニター
概要
ファイバー式ビームモニターで、先端は発光ファイバーで電子ビームを発光させ送光ファイバーにて光を取り出せます。
本モニターはX軸モニターとY軸モニターのセットで使用し、ビームの位置、強度がモニターできます。 又、先端を90°曲げてモニターの校正もでき、測定後は本機内部に先端を収納できます。
本モニターは、アルミニウム合金製にて完全非磁性となっています。
加速器用真空ダクト
SUS/Cuビーム
モニターダクト
Alビームダクト
ベローズ付
銅チャンバー
概要
超高真空から低真空までステンレス合金製はもちろん、銅やアルミニウム合金製も作製しております。特殊な内部形状・表面処理等各種ご相談に応じます。なんなりとお問い合せ下さい。
納入先
SUS/Cuビームモニターダクト: 東北大学
Alビームダクト:東北大学
ベローズ付銅チャンバー:高工エネルギー加速器研究機構
※ベローズはバルカーセイキ(株)製
投影型X線顕微鏡
概要
軟X線光源を利用し、高い分解能で水溶液中での生物試料等の直接観察をねらう顕微鏡装置です。
本装置で使用する波長域のX線は電子線よりもはるかに透過性が高く、水による吸収の影響を最小限にして生物試料の観察を行うことができます。
光学顕微鏡よりも高い分解能で、生理的な状態での生物試料の三次元的な構造をそのまま観察するための新しい方式として期待されています。